アルミで蟹を作った思い出。

工業高校に在籍していた頃、鋳造の実習で文字通り「アルミの蟹」を作りました。

アルミで蟹を作る。

初めてそう聞いた時、どうやって作るのかと思いましたが、説明を聞けば、そんなに難しいものでもありませんでした。

まず、作りたいものを用意して、型をとります。この場合は蟹ですが、生きているものは可哀想なので、死骸を探して来ました。

これをシリコンで固めるのですが、後からプラスチックを流し込む穴と、空気抜きの穴となる棒をくっつけておきます。この作業をしないと、上手く作れません。

シリコンが固まったらその型を二つに切り分け、中の蟹と棒を取り出します。

それからシリコンの型をガッチリ固定し、片方の穴へ熱く溶けたプラスチックを、圧力をかけて流し込みます。

ちなみに、この作業を「射出」と呼びます。空気抜きの穴からプラスチックが流れ出したら型の中にプラスチックが満たされた事になりますが、プラスチックの流れを考えて穴の位置を決めないと、取り残された空気によってプラスチックがキチンと入らない事があるので、注意が必要です。

さて、暫く置いてプラスチックがしっかり冷めて固まったら、シリコンの型を慎重に外します。ここで慌てて「ボキッ」「バキッ」等とやってしまうと、せっかくの作業がやり直しです。

そのまま強行してもいいのですが、失敗のリスクが高くなるため、お勧め出来ません。

ようやくプラスチックが取り出せたら、今度はいよいよ?最終段階の石膏型です。

プラスチックの型が入る大きさの円筒を耐熱性の床に置き、プラスチックの型を立て、それに溶けたアルミを流し込む穴となる棒(これはプラスチック型を作る際に出来た棒でも可)と、やはり空気抜きの穴となる棒(これもプラスチック型を作る時に出来た棒がしっかりしていれば、そのまま流用可)を用意して、その周囲に石膏を流し込みます。

さて、石膏が固まるまで待ってもいいのですが、それだと中のプラスチックが邪魔です。

また二つに分割してもいいのですが、ここは高温の炉で乾燥させることで、中のプラスチックを溶かし、綺麗に流し出してしまいます。

こうして石膏が十分に固まったら、いよいよ溶けたアルミを流し込みます。このような溶けた金属を「湯(ゆ)」と呼びますが、数百度~にもなる高温なので、火傷には十分注意して下さい。

※後日談になりますが、仕事で足に「湯」をぶっかけ、患部が黒焦げになった時は正直焦りました。

治ったから良かったですけど。

さて、ここまで来れば完成間近。炎を上げて流れ込んだアルミが冷めるまで十分な時間を置き(実習では一晩でした)、それから石膏を慎重に割って中身を取り出すと、そこには見事に「アルミの蟹」がいました。

後は仕上げにバリ(余計な部分。この場合は湯を流し込む穴など、蟹以外のアルミ)を削って、出来上がり。

完成した時の感動は、未だに忘れられません。

設備や道具などは他のものでも代用できますし、是非とも鋳造に興味を持ってくれる人が増えると嬉しいです。

高島屋かに